第2章
研究を進める根拠
【R:リサーチ】




(1)これまでの研究

四中校区が「今の課題に向き合い、未来をよりよく生きる力を育む」ためにこれまで取り組んできたことを整理していく。

@ 「いまとみらい科」の開発
「いまとみらい科」に取り組む際に大切にしてきたことが以下のことである。
学校の学びを実社会と結び、リアリティあるものとすること
子どもたち自身が主体的に学ぶために、S-RPDCA学習サイクルで課題解決を行うこと
子どもたちに参画の場を保障すること
9年間一貫して取り組むこと
教職員が社会参画力を育むことで、意識改革・授業改善を行うこと
これらのことを大切に取り組むことで、子どもたち、教職員にとって様々な成果が生まれた。

【子ども】
・ 学ぶ意欲・生きる意欲の向上
・ 子どもの意欲的、主体的な学校づくりへの参画
・ 子どもたちと地域の人が双方共に元気になるリアリティある協働

【教職員】
・ 3校の教職員の協働
・ 教職員自身の社会参画力の向上
・ 子どもたちの課題解決を原点にした実践


A いまとみらい科の成果を各教科の授業へ
昨年度からいまとみらい科の成果を各教科の授業へ広げる取組を行ってきた。いまとみらい科の研究開発は教職員にとって、全ての教育活動を見直すチャンスであった。よりよい授業をつくっていきたい。子どもたちに確かな学力を育みたいと考え、いまとみらい科と教科の授業に共通点を見つけながら以下のことを大切に進めてきた。
なぜそうなるのか、解決すべき課題と子どもたちの関心を近づける導入の重要性
課題解決に向けて、小中共通した学習サイクル(Rを「学びの倉庫」と位置づけ1時間の授業を設計すること)で取り組むこと
学んだことと日常生活のつながり(リアリティ)を常に意識し、子どもたちが意欲をもって学習に取り組めるようにすること




B 学習形態ソロT-コミ-ソロU
いまとみらい科でも教科の授業でも、子どもたちが自らの考えを交流し高め合ってほしいとソロT-コミ‐ソロUという学習形態をとってきた。この学習形態を言語活動の充実に関わるものとして位置付け、四中校区では長年大切に取り組んできた。これまでもその学習形態を問い直し、よりよいものを生み出そうと実践を行ってきた。まずは自分で考えをもつこと。それを友だちに伝え、新しい考えと出会ったり、自分の考えに対する自信を深めたりすることなどの姿が見られた。
成果も見られる一方で、教職員の入れ替わりなどもあって、授業者自身が「なぜソロコミソロを行うのか」という認識が薄れたり、子どものコミュニケーションが交流で終わってしまったり、ソロUで思考を深めるところまで至らないという課題が見られた。そこで改めて何のために言語活動の充実を行うのかを再確認する必要が出てきた。




C 地域連携、小中連携による取組
校区では0才から18才をつらぬいて「生きる力」を育むために校区の教育機関で組織する四中校区教育連携会議「つなぬく」を行ってきた。これまでの連携を基盤としながら、いまとみらい科では地域に参画し、幼稚園・保育所・地域の施設などとの協働を進めてきた。学校と地域がWIN−WINの関係で取り組むことで、地域からも子どもたちの成長を喜ぶ声が多数寄せられた。子どもたちはそんな地域の中で育ち、時に厳しくも温かく見守られて育っている。
校区の2つの小学校は文化や地域性の違いがあり、その2小から進学してくる中学校ではこれまで小中、小小の段差による中1ギャップなどの課題が見られてきた。それが長年の小中一貫の取組により、学習環境や学習方法、教職員の子ども理解などを進めることで段差がなだらかになってきたことを実感している。特にいまとみらい科で6年生が中1ギャップについて考え、7年生がWelcome四中として小学生を迎え入れる取組を行ってきたことにより、子どもたちが学校文化を共有し、不安を解消することにつながっている。

これらの取組をすすめてきたにも関わらず、今なお残る課題、継続して解決していかなければならない課題、新たに見えてきた課題がある。

解決していかなければならない課題

【子ども】
・ これまでの既習事項と関連させて課題を解決する力
・ 正確に自分の意思を伝えたり相手の思いを受け止めたりするコミュニケーション力
・ 自ら課題を見つけ、解決していく力
・ 自分の生活を見つめ、改善していく力
・ 情報化社会の中で様々な情報を選択し判断する力
・ 他者に働きかけ、共に課題解決する力

【教職員】
・ 子どもたちの学びの空洞化(内容・学び方・気持ちのズレ)を埋める取組
・ つけたい力の明確な授業を実践する
・ 集団づくりを土台とした、子どもたちが安心して過ごせる学校づくり
・ 教職員の入れ替わりが進む中で、取組を創造し発展させていくこと



(2)全国的課題

四中校区は子どもたちの課題解決をすべての原点に取り組んできた。しかしこれらの課題は四中校区にとどまらず、全国的なものとも重なる。国の現状と照らし合わせることで、校区が今後も継続して解決しなければならない課題が明らかになる。

現行の学習指導要領では、子どもたちの課題を以下のように挙げている。

@ 思考力・判断力・表現力等を問う読解力や記述式問題、知識・技能を活用する問題に課題
A 読解力で成績分布の分散が拡大しており、その背景には家庭での学習時間などの学習意欲、学習習慣・生活習慣に課題
B 自分への自信の欠如や自らの将来への不安、体力の低下といった課題

これらの課題解決のために学習指導要領では「生きる力をはぐくむことを目指し、基礎的・基本的な知識及び技能を習得させ、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等をはぐくむとともに、主体的に学習に取り組む態度を養うため、言語活動を充実すること」としている。
学力を「基礎的な知識及び技能」「これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力」「主体的に学習に取り組む態度」と3つの要素で捉えたとき、校区の子どもたちの実態から、学びを自分ごととして捉えていく「主体的な学び」が鍵となると考える。

また国においては主体的に学習に取り組む態度の育成と、確かな学力を育むために言語活動の充実の必要性が言われている。

国語科においては、これらの言語の果たす役割を踏まえて、的確に理解し、論理的に思考し表現する能力、互いの立場や考えを尊重して伝え合う能力を育成することや我が国の言語文化に触れて感性や情緒を育むことが重要である。そのためには、「話すこと・聞くこと」や「書くこと」、「読むこと」に関する基本的な国語の力を定着させたり、言葉の美しさやリズムを体感させたりするとともに、発達の段階に応じて、記録、要約、説明、論述といった言語活動を行う能力を培う必要がある。
各教科等においては、国語科で培った能力を基本に、それぞれの教科等の目標を実現する手立てとして、知的活動(論理や思考)やコミュニケーション、感性・情緒の基盤といった言語の役割を踏まえて、言語活動を充実させる必要がある。(言語活動の充実に関する指導事例集【文部科学省】より抜粋)

これまで校区が行ってきた学習形態ソロT-コミ-ソロUを行うことが目的となるのではなく、各教科でつけたい力を獲得させるための手立てであるということを改めて考えなければならない。そして発達段階に応じた言語に関する能力の育成が求められている。

現在全国的に小中一貫教育のニーズが高まり、進められている。小中一貫教育の目的については、一般に取組ごとに学校・市町村・地域住民等の様々な思いが込められていることから、全国的に見ると極めて多様である。一つには、少子化の進行や地域コミュニティの弱体化、核家族化の進行により児童生徒の人間関係が固定化しやすい中、小中連携、一貫教育の実施により、児童生徒が多様な教職員、児童生徒と関わる機会を増やすことで、小学生の中学校進学に対する不安感を軽減することを目的としている例がある。また、中学生が小学生との触れ合いを通じ、上級生である自らに自覚的となることで自尊感情を高め、生徒の暴力行為や不登校、いじめの解消につなげていくことを目的としている例もある。校区の実態を踏まえると、より豊かな人間関係形成と確かな学力の育成、また地域との協働による社会参画力の育成にむけて、小中一貫して取り組む必要性を感じる。


 
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