第6章
これまでの成果と課題 
【C:チェック】




(1)アンケート調査より

ゆめみらい学園では昨年度から高槻市の特色ある学校づくり事業を活用し研究の効果を測定するアンケートを子どもたちに実施している。昨年度に引き続き、今年度も関西大学の寺嶋繁典教授のご協力のもと実施している。

調査対象
ゆめみらい学園 4年生〜9年生

調査項目

 


@授業について

学習形態ソロT-コミ-ソロU

◎授業の中でのコミュニケーションをする時間が増え、人の意見を取り入れようとしている割合が増加してきている。

問いを解くための学習形態ソロT‐コミ‐ソロUについて、様々な教科や学年で実践されている。それを子どもたち自身が実感し、友だちのコミュニケーションを大切にしていることがわかる。自分の考えだけではなく、友だちの考えを受け入れ、よりよい考え方や方法を求めようと学ぶ子どもたちの姿が見られている。それを実感した例として9月に行われた中学校の保健体育科の授業を紹介する。「バタフライ名人になろう」というめあてのもと、水泳の授業が行われた。この日は、ドルフィンキックを上手に行うためにはどのような練習方法をすればよいのかを考えた。自分で実践し、友だちの泳ぎを観察し、よりよい方法を見つけるためにグループで相談し、練習方法を考えた。見学していた子どもたちも陸上から観察し、一緒になって上手になるコツを考えた。このように、実技教科でもソロT‐コミュニケーション‐ソロUを行うことでより良い学びが得られている。
4章の中でも述べたように、教職員がこの学習形態を手立てとして、子どもたちに力を育むためには、まだまだ課題もある。この学習形態が単元の中で有効に機能する時間を見通すこと、ソロTやコミュニケーションの時の教職員の支援、ソロUで子どもたちの学びを的確に評価することなどを高めることで、よりよい質の高いものにしていかなければならない。
一方、「授業はわかりやすい」という項目を子どもたちがどのように捉えているのか。わたしたちが求めるこれからの授業は、単に知識を教え、子どもが「わかった」というものではないということである。教職員は子どもたちが理解できるように、伝えたり考えさせたりする必要はあるが、教職員のわかりやすい説明だけが授業ではない。子どもたち自身が課題を考え、共に考え合って解決していく授業が求められる。今後もこの数値に着目すると同時に、子どもたち自身が授業をどう捉えているのかを図る項目を整理し、検証していきたい。


学びの倉庫の活用

◎課題を解決するための調べ方を身につけ、その結果を発表できる割合が増加している。

これまで、課題を解決するためにどのような方法があるのか導き出せなかったり、これまで学んだことがいかしきれなかったりする子どもたちの姿が見られた。しかし授業を通して「学びの倉庫」を意識し、これまでの学習と今日の学習をつなげて考えるようにしてきた。上記の項目の数値が上がることで、これまでの体験・考え方・知識などを根拠として問いを解こうとする子どもが増えてきていることが確認できる。
もちろんこの結果に満足していてはいけない。学びの倉庫を活用するということは簡単なことではなく、まずは教職員が教科の系統性を理解し、9年間の見通しをもつことが大切となってくる。小中教科部会のさらなる充実などを通して、小中の縦のつながりと小小間の横の連携を大切にした授業づくりが今後も求められる。




◎学んだことを毎日の生活にいかそうとしている子どもが増加してきている。

肯定率が上昇していることから、学校での学びが日常生活とつながり、意味のあるものとして子どもが捉えているのであろうと考える。それは教職員が、学校での学びと生活とのつながりを意識したり、それぞれの教科で学んだことを「いまとみらい」で活用したりするなど、横断的な学習を行った成果だといえる。この数値を今後も分析し、子どもたちの学びの空洞が埋まってきているかどうか検証しなければならない。


A総合的な学習の時間『いまとみらい』について

◎課題に向きあい、あきらめずにチャレンジしようとする子どもの割合が着実に増加している。

総合的な学習の時間『いまとみらい』を行ってきた成果として、課題に向き合い、あきらめずにチャレンジしようとする子どもたちの姿が見られるようになった。自分と課題の立ち位置を問う「S」を大切にしてきた成果であるととらえている。
引き続き、「いまとみらい」を学びの空洞を埋めるためのエンジンとしての役割を意識して取り組んでいきたい。


◎人との出会いを楽しみ、工夫して課題を解決しようとする子どもの割合が8割を越えている。

「いまとみらい」ではたくさんの人との出会いを大切にしている。学校の中で働く人、まちで生きる人などいろいろな人との出会いから多くの学びを得ている。
 昨年度末の8年生では、Heart Heat Artプロジェクト(H2Aプロジェクト)でまちの人の願いを聞き、地域の住宅倉庫に壁画を描いた。より多くのまちの人に参加してもらおうと、校区の小学校、幼稚園、保育所、地域住民にも働きかけ、約200人もの人が参加することとなった。まちの人に絵のコンセプトをプレゼンテーションしたり、参加してくれた小学生に描き方を教えたりすることで、自分たちでこの取組を完成するんだという自覚が芽生えた。人との出会いから、大きな成長を感じることができた。




◎「自分の町が好き」と思う子どもの割合が8割を越えている

自分のまちが好きであるということは、自分の育ち、そして周りにいる人、ものを肯定的に受け入れることにつながる。自分のまちに関心をもって、いろいろな人と出会い、つながり、働きかけていく力を育みたいと願って取組を進める中で、この数値が高いことをうれしく思う。同時に、学校の取組に協力し、応援してくださっている地域・保護者の皆様に感謝を忘れてはならない。
一方で「自分が好きである」の肯定率は上昇しているものの、今後もさらに育んでいくべき課題である。「まちの温度計を上げよう」とS‐RPDCA学習サイクルで取り組んでいるが、まちに参画することで終わってしまってはいけない。まちの人はどんな反応だったのか、この取組によって自分たちにはどんな力がついたのかなど子ども自身が適切にふり返ることと、教職員が子どもたちの成長を見とり共有していかなければならない。「活動あって学びなし」で終わるのではなく、子どもたちが身についた力を実感できるように、ふり返りを大切にしたい。もちろん、力がついたと実感できるためには、何を学ばせるのかというねらいをもった取組の計画も大切である。これまで行ってきた合同学年会を引き続き行うなどして、「いまとみらい」の充実をこれからも図っていきたい。


(2)教職員の声より考察したこと

一貫研コミュニケーションカードより教職員の声

一貫研全体会
小中卒業学年の最後の授業(卒業式)の様子を聞き、一貫研でめざしてきたことの成果が形となってあらわれたと感じました。教職員がチームとして取り組む大切さと効果を卒業生の姿に見ることができました。今年度の成果と課題を聞きながら、言葉化することですっきりとした気がします。みんなで共通理解しながら、次のステップへ進んでいきたいです。

今の「いまとみらい」はたぶん研究開始時と比べると数段磨きがかかってきたのでは?と思います。しかし取組はよかったが真に子どもにとってつけたい力がついたのか?そんな問いかけを自分自身でしている今日このごろです。だからこそのSだと思うので、来年度も校区としてのS。学校としてのS、自分自身のSをはっきりさせて働いていきたいです。




小中教科部会・小小合同学年会

難しい内容でしたがたくさんご意見をいただいてうれしかったです。話して整理された気がします。これって言語活動と思いました。生徒にもやってよかったと思える授業を提供したいものです。

国語科「感情」の学習は、取り上げようによっては道徳的扱いになってしまう場合がある。やはり国語科として扱う以上、国語科のねらいに準じる必要があると思います。「対話」を取り入れた言語活動を軸として授業をするとどんな授業になるのか楽しみです。

今日はたくさんの中学校的教材研究の視点を教えてもらい勉強になりました。主発問をどうするかの裏には、様々な視点や子どもに考えさせたいこと、それまでにおさえておくことなどがあり、どこをねらいとするのかがブレないことが重要で難しいと感じました。

研究授業や合同の取組を進めるために、富田小と赤大路小の合同学年会議を適宜行っているが、これも小中一貫の取組で大きな柱になっていると感じます。




研究授業

自分の意見を言えていたのはよかったと思います。ペア交流でのノートチェンジで、言いにくい子でも思いを表すことができたのでは。話す・聞くの態度がとてもよかったです。

学びの倉庫は、どのように何を視覚化すればいいのか、あらためて考えさせられました。本日の場合に先生のお話で何度か「今までの対話」という表現がありましたが、さらに視覚的にしておくと苦手な子に良かったか?と自分の授業での足りなさに返しながら、学ばせていただきました。

子どもたちが45分とぎれずに考えたり、交流したりしている姿が印象的でした。発表する時に、交流した時に知った意見を取り入れて話をしていたのも良かったと思う。

全員が発表する(発表じゃないにしても何か役割がある)場面があり、子どもたちが意欲的に取り組んでいたと思いますが、発表の時間が少し間延びしてしまった印象でした。ソロUの時間をもっととれるように、発表の仕方を工夫しても良いかもしれないと思いました。

“今日学んだことが入る”というのは、学びの連続性につながると思う。

苦手な子にも一人で問いに向かっていけるよう、ヒントカードが用意されていて、勉強になります。


成果と課題

一つの授業を小中合同で検討し、参観し合うことで得る学びは多い。教材研究として検討しなければならないことが明確になったり、授業を行う上で必要な支援の在り方を学んだりできている。この一貫のスタイルは今後も充実させていきたい。
今年度、教職員の入れ替わりが多い中で、研究を進めてきた。校区がベクトルをそろえて研究を進めるために、全体会で方針を確認すること、それを教科部会や小小合同学年会などで検討、そして実践を深めるという小中一貫のシステムとサイクルを整理し、充実していくことは今後も実践の中で研究していかなければならない。


 
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