第5章
成果と課題
【C:チェック】



 ここでは、校区が進めている研究の成果と課題を明らかにし、今後の取り組みにつなげていく。


1 効果測定アンケートより

 校区では、研究の効果を検証するべく、一昨年度より関西大学の寺嶋繁典教授の研究室に効果測定を委託し、アンケートを行っている。今年度は、授業づくりについての効果を検証したいと考え、44〜48までの項目を追加することとした。なお、本アンケートはゆめみらい学園の4年生から9年生までのすべての子どもを対象として実施している。
今年度、実施したアンケート項目は以下のとおりである。




@『解きたくなる問い』について
 「ものごとをさまざまな視点から考える」の項目について、「とてもそう思う」が今年度も数値を伸ばしている。問いを解く経験を積み重ね、たくさんの価値観や考え方を得たからであると考えられる。今後も『解きたくなる問い』を解くことの積み重ねにより、自ら問いを立てて解いていく力をつけていきたい。「授業の中でわくわくする問いがある」については、6割以上の肯定率となっている。学びの本質に迫る問いについて今後も研究を進めていきたい。

A『学びの倉庫』について
 「わからないことがあると、どのように調べたらよいかがわかる」では「とてもそう思う」が伸びている。既習事項や経験を活かして問いを解くツールとして、『学びの倉庫』が日常の授業に位置づきつつあると考えられる。しかし、「学んだことを表現できる」については6割程度の肯定率となっていることから、これまでの学びを活かしきれていない子どももいることがわかる。今後も教職員が学びのつながりを意識し、「学びの倉庫」を整理・活用していく必要がある。

B『ソロ−コミ−ソロ』について
 上のデータから『ソロ−コミ−ソロ』の効果が見てとれる。「人の意見を取り入れることができる」の肯定率が8割を超えていることから、自然に友だちと意見交流し、それを取り入れることができている子どもが多いことがわかる。今後、今年度作成した「コミュニケーション力ステップ表」も活用しながら、さらにコミュニケーション力の向上を図っていきたい。
 「ふりかえったことを次にいかしている」の肯定率は年々上昇している。ソロUで、その時間の学びを言語化することが定着してきているといえる。学びを確かなものにするためには、学びをきちんとふり返り、次につなげていくことが重要であると考えている。今後も、学びを言語化する活動を大切にしていきたい。

C生活科・総合的な学習の時間「いまとみらい」について
 「自分の課題と向き合うことができる」の項目の肯定率が上がり続けているのは、さまざまな場面で課題と自分との関係を見つめるSを大切にすることが、教職員や子どもたちの中に位置づいている成果であると考える。今後も、「いまとみらい」の授業を中心に、自分と課題との立ち位置を明らかにしていくことを大切に取り組んでいきたい。
 「自分のまちが好きである」は今年度も8割を超える肯定率であるが、昨年度と比較すると減少している。「いまとみらい」の取り組みでは、まちや社会とのつながりを意識し、人との出会いを大切にして取り組んできた。今後も、子どもたちの現実を見つめながら、たくさんの魅力的な人と出会い、まちと協働し、社会に参画していける単元の開発をし続けていかなければならない。



2 コミュニケーションカードより

 校区の研修では、毎回教職員がコミュニケーションカードを記入し、その声を大切にしながら研究を進めている。研究を進めていくのは、校区の教職員一人ひとりである。その声を通し、今年度の研究の成果と課題を検証したい。

一貫研全体会

・子どもたちの姿、校区の先生方の姿を見て胸がいっぱいになりました。目の前の子どもたちのために!という合言葉で校区が一丸となってとりくめる四中校区はあらためてあったかいと思いました。保護者の協力、まちの力、そして先生の本気が、子どもたちのいきいきした姿が、校区の宝だと思いました。

・『解きたくなる問い』について、今年度はこだわって教材研究してきた。一つ確信したことは知的好奇心をくすぐる問いを立てることができれば、子どもたちはひたすら考え続けることができるということです。そんな問いを来年度もっともっと増やしていければと思います。

・普段の授業づくりに活かす・・・このことについて、もう一度考える地域公開研になればと思います。公開授業自体はみんなで練り上げて、それなりにおもしろいものになっていくと思いますが、それがどう日々の授業づくりに返していけるかを提案できればいいなぁと思います。具体的なヒント(手がかり?)が提示できるといいですね。

・いつも前年度したことを頼りにして、同じことでいいやと思ってしまう自分はとても反省しなくてはと思います。今、見ている子どもたちがどんなことができるのか、どんなゴールなら主体的に学べたのか考えることが大切だと思います。そして、どんな力をつけたいのかというSがとても大切だと思います。

小中教科部会

・理科部会で「実験、観察の結果から考察を書く力をつける」というテーマで研究しますが、いい例を示したり、生活とのかかわりを書くようにさせたり、とても勉強になる意見がたくさん出てきた。今日まだ出てきていない手だてなどもあると思うので、これからたくさん調べて、次の部会もいい話し合いができるように準備していきたいです。

・国語の授業で、今まで説明文を教えるときにあまり他学年や小学校との系統性などについて考えていませんでした。でも、今回の話で小中の説明文の単元の位置づけがなんとなくわかったような気がします。次回もさらに学びを深めていきたいです。

・美術、図工の部会で、制作する以前の道具の準備、片付けについて話を進めています。特に絵の具については、机の上がうまく整理されていないと、作業の動線に無駄な動きが出てきてスムーズに進みません。小さいことへの配慮に目を向け、さりげない工夫をみんなのものにできるようにしたいです。

校区研究授業

・各教科に3本柱を入れながら主体的な学びを引き出すむずかしさをあらためて感じたとともに、その視点で授業を組み立てていく中で、成果も出てきているのだなと思いました。自分以外の先生の授業を見ることで、いろんな発見があり、私の中での学びがとても大きく、少し整理できたように思います。これからもっと校区で交流ができたらいいなと思いました。

・問い⇒ソロT⇒コミ⇒ソロUのパターンは定着しているように思います。子どもたちもスムーズに考えたり、説明したりする授業に入っている気がします。それだけにこの授業で、「何」を「どこまで」つけたい力につながるコミの時の考えの交通整理はとても大切だと感じました。

・聞き方、話し方、伝え方のルールが徹底されていて子どもたちの中にきちんと土台ができているように感じました。教師が子どもたちをつなぐのではなく、子どもたち同士でつないでいく、できるだけ教師が話しすぎない形の授業で、とても勉強になりました。

《成果と課題》

 教職員の入れ替わりが多くあった中でも、校区の研究をともに前向きに進めていこうとする言葉が聞かれる。小中一貫した研究の組織体制が文化として根付いてきていることがわかる。しかし、それは当たり前のことではなく、これまで積み重ねてきたからこそのものである。今後も、現状に甘んじることなくシステムとサイクルをさらに整備していくことが求められる。「何のための研究なのか」「なぜ、授業改善が必要なのか」を確認しながら、迷いなき前年度踏襲におちいることなく、子どもの課題解決を原点にすえてこれからも研究を進めていきたい。



 
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