第1章
研究の継承と発展    C




4)いまとみらい科の成果

子どもたちは「いまとみらい科」の学習を通して,「家庭・学校」や「地域社会」に参画し,「困難を乗り越える」「じりつして生きる」「人や社会に働きかける」などの社会参画力を少しずつ育んできた。1年生は,保育所・幼稚園の子どもたちが,わくわくして小学校に入学できるように「体験入学」を計画しておこなった。3年生は,地域の方と共に「わがまちソング」をつくり,地域を盛り上げようとまちづくりに参画した。9年生は,職業体験を通して見つけたまちの課題に対し自分たちのアクションプランを考え,フォーラムを開いた。これらの学習を通した「学び」は「いまとみらい科」から日常へ広がり,生活力の向上へとつながっている。今回の研究開発を経て次のような成果が生まれつつある。

@ 学ぶ意欲・生きる意欲の向上
A 子どもが意欲的,主体的に参画する学校づくり
B 地域の人も子どもたちも元気になるリアリティある協働
C 校区3校の教職員の協働


@ 学ぶ意欲・生きる意欲の向上
「いまとみらい科」を通じて社会参画の経験を積み重ねる中で生きる意欲・学ぶ意欲の向上がみられた。
何度も悩んできた「荒れ」に対しては,一貫研(3校合同研修会)や小中人事交流などを通して3つの一貫(子ども理解・内容・学び方)を進める中で,落ち着いて学べるようになってきた。「安心・安全」の学校文化の中,子どもたちと教職員は意欲的に「学び」と向き合えるようになった。「みんなで話し合う授業は楽しい」「考えたことを実現していくことは楽しい」「小さかった声が大きくなった」「手を挙げられるようになった」「知らないことを調べることはおもしろい」などの子どもたちの姿が見られ,学力面での成果にもつながっている。この3年間で自分からあたたかいあいさつをする子どもが増え,「子どもたちのあいさつがいいですね」このような嬉しいお声を寄せていただけるようになった。そして,子どもたちはよく話すようになった。学ぶ意欲の向上は,生きる意欲の向上であるととらえている。


A 子どもが意欲的,主体的に参画する学校づくり
「いまとみらい科」を通して,人と協力して物事をやり遂げるあたたかさや充実感,つまり,社会に参画するおもしろさを感じた子どもたちは,主体的に学校づくりに参画するようになった。自分で考えて行動するのが苦手だった子どもたちが,「おもしろい体育祭に改革したい」「校区のキャラクターをつくりたい」「学校放送でDJがしたい」「地域の人の意見が聞きたい」「違う意見の人と出会っても粘り強く(話し合えるよう)になった」「意見が言いたい」「あいさつができるようになった」「学校のみんなでルールを考える会議がしたい」といった意欲的,主体的に学校づくりに参画する姿を見せている。


B 地域の人も子どもたちも元気になるリアリティある協働
今まで,学校は地域の人材を学校の「都合で」活用させていただいているという側面があった。しかし,「いまとみらい科」を開発する中で,今までの学校と地域の連携の枠を越えた多くの地域の方,行政の方との協働が進んだ。インターネットで「いまとみらい科」を検索すると,教育機関以外のホームページにもヒットする。今回の学習で,ある地域の方は「『Win-Win』の関係であることがうれしい。学校の子どもたちに関わることはうちにとっても損だとは思ってない」とおっしゃってくださっている。「子どもたちが,まちのことを考えてくれるなんてうれしい」「自分の知り合いを紹介したい」「中学生から,社会を変えることもあるのではないかと感じることができた」「ぜひ,まつりに出てほしい」などの声が寄せられ,授業にかかわることを喜んでくだっている。リアリティある地域との協働は,地域の方,子どもたち,教職員を元気にしている。


C 校区3校の教職員の協働
校区の課題解決のために3つの一貫を進めた。それは,この3年間の研究を支えるものであった。組織を整え,数々の会議や協働をくり返す中で,校区3校の教職員の距離は縮まっていった。「中学校の先生に聞いてみよう」「小学校の先生に助けてもらおう」「校区でおもしろいことがしたい」「校区の歌をつくりたい」「2つの小学校で一緒に取り組もう」「合同学年会をしよう」など,学校の枠を超えた協働が可能となった。教職員間の距離が縮まることは,子どもたち同士の協働を生んでいくことにもなった。「今と未来を生き抜く『いまとみらい科』を一緒に開発する」という大きな柱を通すことで,3校のベクトルを合わせ,校区の教育力を高められるようになってきた。


 
前のPAGEへ
次のページへ
  HOMEへ