第4章
成果と課題




1 今年度の成果と課題
    ゆめみらい学園のチャレンジは続く



新しい研究の1年目ととらえた今年度,高槻市の「地域と連携した特色ある学校づくり」の施策をチャンスとして関西大学大学院の寺嶋繁典教授の研究室に効果測定を委託し,効果測定項目を刷新することにした。校区の取組が子どもたちにどのような効果をもたらしているのか検証しながら,取組改善を進めたいと考えている。


1)授業を中心に


@4年間の比較より
○昨年度までの効果測定と質問項目が同じで,成果がみられるもの


 平成23年7月から6回にわたって測定した「いろいろなことについて一生懸命考えることができる」「困ったことが起きたとき,自分で考え行動することができる」の項目に成果が見られる。社会参画をキーワードにして,さまざまな課題を解決する授業や活動を積み重ねてきた。粘り強く取り組むことに課題が見られた子どもたちに少しずつこれらの力が育まれていると分析している。



A教科学習に関して
今年度から実施の効果測定(4年生〜9年生)の結果をふまえて

学んでいることの意義が感じにくいなどの学びの空洞をうめるために,S-RPDCA学習サイクルに沿った授業,ソロT-コミ-ソロUの学習形態,リアリティの追求をおこなってきた結果,前向きに学ぶ姿が見られており,現時点で上記のようになっている。「授業はわかりやすい」について,全体では80%を上回っているが,学年があがるごとに低下する傾向が見られた。9年間を貫いてつけたい力を育むための「学びたくなる」「わかる」授業改善を継続する必要がある。「授業ではグループでコミュニケーションする時間がある」では小中共に肯定率が85%を上回り,中学校の方がより高くなっている。「ソロT-コミュニケーション-ソロU」の学習形態が教科や学年を越えて実践されていることがうかがえる。
一方で「ソロT-コミュニケーション-ソロU」のさらなる充実が課題としてあげられる。ソロTでつまずいている子どもへの支援に悩む教員も多い。授業でめざす子どもの姿にせまる主発問の精選や「学びの倉庫」の活用などの研究を深めることがその答えになると考えている。また,コミュニケーションタイムを本当の意味で「深め合い,高め合う」時間とするにはまだまだ改善が必要である。何のための話し合いなのか「出口」が明確でない話し合いや,手立て不足により子どもたちがどのように課題解決に向かって力を合わせればよいのか明確でないコミュニケーションタイムが見受けられる。言語活動のスキルを十分に育めていない結果,話し合いがうまくいかないこともある。ソロUでそれぞれが学びを実らせるためには思考ツールの活用や聴く話す力の育成を継続しながら,コミュニケーションタイムの質の向上を図ることが求められる。



Bいまとみらい科に関して

いまとみらい科では「学校の温度計をあげよう」「まちの温度計をあげよう」のテーマで社会参画を進め,自分と課題との立ち位置を問う「S」を大切にしてきた。上記はその成果であると考えている。

いまとみらい科の学習は4年目に入り,子どもたちも学習サイクルをくり返す中で学習の見通しがもてるようになった。また4年間という年月を重ねる中で,単元の成熟が見られる。具体的な単元から成果を見ていく。

中1ギャップを乗りこえるために
6年 step by step〜未来へ〜 
7年 welcome四中




校区の課題でもある中1ギャップを乗り越えるために毎年続けている単元である。6年は小小交流や小中交流を取り入れながら,中学校という未来を生き抜くためにリサーチし,今からできることを実行していく。また,不安と期待が入り交じった6年を「Welcome 四中」という単元で先輩として体験入学に参画し,「おもてなし」するのが7年である。
7年は6年の時に「おもてなし」を受けた経験がある。その経験を活かし,「3days スタディ」として第四中学校で3日間を過ごす6年を迎えるために,教室環境整備や中学校生活のプレゼン作成,交流授業企画運営などいきいきと自分たちで計画,実行する姿を見せた。教員がイメージしていた枠を超えて,意欲的に活動する様子が随所に見られた。
6年は,2つの小学校混合クラスを編成し,3日間四中で生活することを中学校生活への「リサーチ」として設定した。2つの小学校の5人の6年担任が,教科担任制で授業をおこなったり,中学校の授業参観をおこなったりした。3日間の中で小小ギャップや小中ギャップを感じながらも,身近に迫った未来をよりイメージし,今後の生活に活かせる学習となった。よりよい中学校生活につなげていくために,このあと2つの小学校がいっしょになってできることを考え,実行していく学習が続く。

  

この単元に代表されるように,教職員が見通しをもって単元開発を楽しめるようになってきたこと,子どもが学習の見通しをもてるようになったこと,地域の方々の受け入れ体制が整ってきたこともあり,子どもたちの社会参画の幅が広がってきた。上のような項目が高い肯定率であることは,いまとみらい科の成果だと分析している。自分のまちを大切に思うことは,自分の育ちそのものを肯定することにつながると考える。自分のまちに関心をもち,さまざまな人と出会い,大好きなまちをもっとよくしていきたいと参画し続ける子どもになってほしいとの願いがこもったいまとみらい科であることを考えると,うれしい成果である。地域の方々や保護者の温かい気持ちに支えられている学習であることを子どもと共に感謝したい。
一方で,子どもがリアリティある社会との出会いをどれほどできているのかという課題がある。実社会は温かさとともに厳しさも持ち合わせている。準備不足や社会では受け入れてもらえない態度などがあったとしても,温かい目で見守られて学習が進む場面もある。学年があがるにつれて,子どもであっても一人の人として,関係を築いていただくには,子どもたちの活動や意欲のレベルを高めていく必要がある。そうすることで,子どもたちにも知ってほしい厳しさに出会わせてもらえるチャンスも増えるであろう。リアリティある社会を知り,課題を見つけ,考え続ける学習とするには,教科学習でもっと力を育むことが欠かせない。いまとみらい科と教科を両輪として考え,学ぶ力を育成する必要がある。地域に関わる方々と,地域のことを共に考える「パートナー」となるためには,教科との関連を図りながら,いまとみらい科のさらなる発展の必要性を感じている。



 
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