大阪府高槻市立 城南中学校
           Jounan Junior High School
 

  ホーム>学校ビオトープ


         ■全国学校ビオトープコンクール 奨励賞受賞   
         ■「身近な環境への取り組み事例発表会」(高槻市環境保全課主催)での発表 2001.1.19


 平成16年2月14日、第3回全国学校ビオトープコンクールにおいて、奨励賞を受賞しました





3年間のビオトープ活動をふり返って
@ はじまり
 
1999年度の3年生の後期選択履修で「ビオトープをつくろう」の講座がスタートしました。
 阪神都市圏ビオトープフォーラム、地域環境計画、大阪府公害監視センターからなど、専門的な知識を持った人が講師として次々と来られ、城南中のビオトープをつくるために、色々と手伝ってくれました。
 
設計班と作業班に分かれ、設計班はビオトープの設計を、作業班は中庭にあるコンクリート製の池を壊すことからはじめました。

 11月3日には、城南中学校から23人が参加して、阿武山のトンボ池を見に行きました。現地では、池やそのまわりに住む生き物をとったり、専門家の人の説明を聞いたりしました。

 そして、11月26日、城南中学校の視聴覚教室で、それぞれが考えた設計について発表しあいました。この会にも専門家の人に来ていただき、意見や助言をしてもらいました。各グループの良い点や特徴的な部分を集め、最終設計をまとめました。
A ビオトープの意義とねらい

 
 ここで、城南中学校で考えたビオトープの意義についてまとめておきます。

 自然の少ない城南中学校区の中に、少しでも自然とふれあうことができる場所を作り、「自然のもつすばらしさ」「自然の成り立つ不思議さ」を体験できる場所を作りたいという思いから、この取り組みは始まりました。

 21世紀の主役となる私たちが、環境問題を自分のこととして考えられ、単に知識として理解するだけでなく、よりよい環境をつくるために行動できる人間に成長していこうという願いもありました。

城南中学校では4つのねらいで、この取り組みを進めることにしました。

 1.宅地化が進み、自然とふれあう機会が少なくなった地域に、自然体験のできる場を作る。

 2.生き物どうしのつながりを理解する。

 3.生徒自身が考え、試行錯誤をくり返し、よりよいものを作っていくことを通して、自治の力を育てる。

 4.保護者、地域、専門家の力をかりることで、学校・家庭・地域のネットワークをつくる。

 城南中学校では1998年度から、3年生が2学期に「環境」をテーマに総合的な学習をしています。

 1999年度の3年生の中に、「今、メダカに迫る危機」というテーマで、高槻の野生メダカを調査したグループがありました。そのグループが、大阪自然環境保全協会の方の協力も得て、芥川の野生メダカをつかまえてきました。

 城南中学校のビオトープは、野生のメダカをふやすことを第一の目標にすることになりました。
B 池づくりの様子

 2月6日、雨の中、親父の会のみなさん、PTA常任委員さん、樫田建設のみなさんに手伝っていただき、土のう作りと粗掘をしました。土のうは合計550個もつくり、5時までかかって池の粗掘と排水施設の工事をしていただきました。

 2月13日、池の底に土のうをしきつめ、その上に保護者から寄付していただいた毛布をしき、防水シートをしきました。防水シートの上にもう一度土のうをしき、そのうえにまさ土をかぶせて、池は完成しました。

 阿武山のトンボ池の土には、いろんな野草の種子が入っているので、城南中の池のまわりにも、いろんな植物が芽生えることを期待して、2月21日に、阿武山のトンボ池のまわりの土を少し運んできて、あくび池のまわりに表土移植しました。
C 1年目をまとめると

 3年生の各クラスでビオトープの名前と池の名前を募り、ビオトープは「やすらぎの森」池は「あくび池」になりました。生き物が集まってくると同時に、地域の人たちが集まり、安らげるように、池のまわりでボーッとできる場所にという思いをこめて、この名前に決定しました。

 そして、卒業式の前日の3月9日に、メダカ30匹とドジョウ3匹の放流、実のなる木やドングリから発芽したコナラの木の植樹をしました。

 ビオトープを設計するところから始まり、池を作ることで1年目の講座は終りました。花だんやコンクリートの池をこわしたり、土を運んだりと、作業は大変でなかなか進まなかったそうですが、ビオトープ作りの第一歩となりました。このとき参加していた先輩の感想の一部を紹介します。

 「大変だったし、疲れたけど池ができる様子を見ていたら、すごく楽しくなった。」「池だけしか作れなかったのは残念だけど、いい池ができたと思う。何年かかけていいビオトープができたらいいなあと思う。」

 「今までで一番しんどかったけど、おもしろかった。土のう作りで、土や砂を集めれば、こんなに重くなるとは思わなかった。」

 そして、次の3年生には「これから多くの木や草を植えて緑をふやしていってほしい」「いろんな生物が季節によって来たりするビオトープにしてほしい。」「今まで自分たちが一生懸命やってきたから、次の3年生もまじめに考えて立派なやすらぎの森をつくってほしいです。」「みんなで協力してすばらしいビオトープにしてほしい。」という願いが伝えられました
D 2年目の活動


 2000年度のビオトープ作りは、水を循環させるために、小さい池とせせらぎの地形をつくることに取り組みました。
 当初の設計では、あくび池から戻る水路は地下にパイプを通すことになっていましたが、専門家からのアドバイスと、掘っている最中に出てきた「ここにメダカが泳いでいたらいいのになあ」という生徒の声を取り入れて、2本とも開放的な水路にすることになりました。


 毎回のビオトープの授業では、スコップでひたすら地面を掘りました。暑い夏も寒い冬も掘り続けて、1年かけて、完全に手掘りで、小さい池そのものと、2つの池を結ぶ2本の水路ができました。

 この水路は、ゴムシートではなく、ベントナイトシートを使いました。ここでも、専門家の方にいろんなアドバイスをしていただき、実際の作業も遅くまで手伝っていただきました。
 
 いらなくなったドラムカンを利用して、校舎の縦樋とつないで、雨水利用タンクもつくりました。こうして、2年目は、小さい池とせせらぎの地形が完成し、雨水利用タンクもつくって、流水システムが出来上がりました。
E 2年目に生き物は


 2年目の中庭の生き物はどうだったでしょうか。まず、メダカについては、5月に稚魚が確認され、1年後の3月に調べたところ、30匹のメダカは600匹以上にふえました。メダカが育つ池として、あくび池はうまく機能したことが確認できました。メダカのことについて、説明しておきます。

大阪全体で野生メダカが生きているのは、1400区画の調査でわずか91区画だそうです。率にして7%の地点にしかメダカは見つかっていません。

メダカが減ってしまった原因は、人間が水をよごしたり、コンクリートで川をおおい、メダカがすみにくい環境にしてしまったからです。そのうえ、メダカをえさにして食べてしまうブラックバスやブルーギルや、メダカと同じような環境で育ち、メダカよりも生命力のあるカダヤシを放流したので、いっそうメダカは少なくなりました。

昨年2月に、環境庁は「絶滅のおそれがある野生動物」にメダカを指定しました。このままほっておいたら、本当に絶滅してしまうかもしれません。

ヒメダカはキンギョといっしょで、人間が品種改良したもので野生ではありませんから、野生のメダカとヒメダカが混じることは避けなくてはなりません。また、地域によって、メダカの遺伝子タイプが異なることも考えられるので、流域を越えて放流することは避けなければなりません。

 春になって、池の水面にはじめにやってきたのはアメンボ類です。アメンボは日本には、20種類ほど生息しているそうです。すべて肉食性で、はねのまったくないものや長いはねのあるもの、短いはねのあるものなどいろいろです。あくび池には、生まれたばかりの小さいアメンボがたくさん見えます。肉食性だとしたら、いったい何を食べているのでしょうか。

 また、あくび池にはいろんな種類のトンボが卵を産みにきています。小さくて青っぽいイトトンボや大きなヤンマの仲間、普通に見られるシオカラトンボなどが卵を産みにきていました。シオカラトンボはオスは青白い色をしていてメスは麦わら色をしています。オスとメスがくっついて飛びながら、池の水面にチョンチョンと尾をつけて産卵していました。シオカラトンボ以外にもウスバキトンボ・ショウジョウトンボ・オオシオカラトンボなどいろんなトンボがやってきます。

 2年目の終わりに調べたところ、ギンヤンマのヤゴが30匹あまり見つかりました。また、ヌマエビは数匹から五千匹以上にふえました。ドジョウは6匹確認しました。

鳥類は確認しただけで12種類がやってきました。

F 2年目の先輩の声

 「最初に見た時よりも、メダカが増えたのはうれしかった。エビはもう少し減らすべきだと思う。中庭にくる鳥の種類が増えた。たまに窓から中庭を見たら、はじめてみるような鳥もいた。池で採集したギンヤンマのヤゴは印象に残っている。ヤゴの大きさにびっくりした。ヤゴにメダカやヌマエビを与えると、勢いよく喰らいついてきたので、食物連鎖というか生態系がよくわかった。」

 「けっこう肉体労働ばっかで、しんどかったけれど、その分だけ、ビオトープが完成に近づいてきたし、自分なりにがんばってやったかいがあったと思う。水路をひたすら掘っていたけど、掘っても掘ってもなかなか深くならないし、幅が拡がらないしで、けっこうしんどかった。けど、回を重ねていくうちに少しずつだんだん大きくなっていったので、一生懸命やった成果だと思う。」

 「2年目は池に関する作業が多くて、緑に関することはほとんどできなかったから、3年目の人は、たくさん木を植えたりして、いい森にしていってもらいたいです。簡単そうに見えてなかなか進まなくて意外と難しいけど、がんばって下さい。」
G 3年目の様子


 
3年目は、選択履修の講座が1年間で4期に分かれ、それぞれの時期に、目標を決めて活動しました。

 選択1期は、2年目からのひきつぎにもあったように、木を増やそうということで、高槻森林組合からクロガネモチ・コブシ・ユキヤナギ・レンギョウを合計30本いただいて、植樹しました。3年生の1学期の総合学習では、ビオトープオリジナルブックづくりというコースで、鳥類・チョウ・メダカ・外来種の植物についてしらべて本づくりを行ないました。

 チョウのグループは中庭のキンカンの木にアゲハの幼虫がいるのを見つけました。

 鳥のグループは、中庭で撮影したハシボソガラス・スズメ・カワラヒワ・ハクセキレイ・ジョウビタキなどを含めて15種類の鳥の説明をまとめました。


 選択2期では、阪急電車からいただいたまくら木を利用して、通路や橋を作りました。この通路や橋ができて、中庭で生き物を観察するのによりよくなりました。とても重いまくら木を、大きなケガもなく移設できたことは、先輩たちが池や水路の完成のために汗を流したのと肩を並べるがんばりだったと評価してもらいました。

 選択3期は、保護者の勤務している住宅会社からいただいたマツの木を使ってベンチ作りをしたり、鳥の巣箱を作っています。また、ドラムカンの雨水利用タンクがさびてきたので、ポリエチレン製のタンクに交換しました。ドラムカンは200リットルしか水がためられませんが、ポリエチレン製のタンクは600リットルためられるので、4か所で合計2トン以上の雨水をためることが可能になりました。それから、中庭に田んぼや畑を作るためにじゃまになっているコンクリート通路をこわすことにも取り組んでいます。

 阿武山周辺からカンサイタンポポを採取してきて、タンポポの根を切って、根からタンポポをふやす計画も進行中です。昔から日本の田のあぜ道や野原などにたくさん咲いていたのはカンサイタンポポやシロバナタンポポです。ところが、田や畑がつぶされ、宅地や道路などにかわっていくと、ヨーロッパから入ってきたセイヨウタンポポが、カンサイタンポポのかわりにふえていきました。城南中学校校区で見られるタンポポはほとんどがセイヨウタンポポです。そこで、中庭のビオトープでカンサイタンポポを増やそうということになったわけです。現在、タンポポは根から発芽して、小さい葉を広げています。来年の春に花が咲くことを楽しみにしています。

H 生き物の観察と管理

 3年目にはいって、活動内容はビオトープづくりだけでなく、生き物観察や自然と親しむ活動もふえてきました。メダカのエサになるカイミジンコやゾウミジンコの観察、メダカの卵や稚魚の観察、ギンヤンマのヤゴの観察、季節ごとの野草の観察、近くの東部排水路にペットボトルトラップをしかけに行ったり、ヨシの葉で笹舟を作って笹舟レースをしたりして、城南中学校の中庭で、自然と親しめるようになってきました。

 秋に、池の中の一部を網ですくってみて、ヌマエビの数から全体を推定してみると、ギンヤンマのヤゴは100匹以上、他のトンボのヤゴは200匹以上、メダカは2000匹、ドジョウは50匹はいると推測されます。

 ビオトープの維持管理も課題になってきました。夏休みの終わりには、中庭は背の高い野草で、歩けないほどになりました。特に目立ったのは、黄色い花を咲かせ、2m以上の高さになるオオマツヨイグサ・アレチマツヨイグサ・メマツヨイグサなどのマツヨイグサの仲間です。それから、キク科で白い花を咲かせるオオアレチノギク・ヒメムカシヨモギ・ホウキギクなどで、これらはすべて外来種です。水路には、メダカやドジョウが上ってきて、メダカを手ですくえるようにまでなってきたのですが、池の中はオオカナダモやコカナダモがものすごい勢いで増えだしました。昨年同様、池の中にはアオミドロも水面に浮き上がるほどに増えています。ほったらかしにするのではなく、伸びすぎた草は刈ったり、増えすぎたモは取ったりしなくてはいけません。
I 3期の生徒の声
 
 「カンサイタンポポは来年の春が待ち遠しい。卒業するまでに咲いてほしい。池のアオミドロ取りは一生懸命やれた。取っても取ってもすぐに繁殖しているけど。絶滅の心配があるメダカが城南中の池や水路で泳いでいるのを見ると不思議やった。メダカは城南中を卒業すると、もうあんまり見れへんのかな。」

 「雨水タンクの交換は、前のドラムカンをはずし、新しいタンクを取りつけた。時間はかかったけど、4個とも完成した。コンクリートをこわす作業は力がいるし、手はだるくなるし、破片は飛んでくるしで大変だった。けど、もっとやりたかったし楽しかった。」

先頭に戻る